【夏目柚葉(平城山 圭ヴァージョン)】
 平城山 圭さんに、無理を言って描いていただいた夏目柚葉嬢です。
 何と言うかもう…同じキャラクター描いて、どうしてこう違うんでしょうねぇ?(苦笑
 上手すぎ。

 …以下、平城山さんからのコメントです。
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とりあえず、ネタはなーんにも思いつかなかったので、季節柄、新入生を放送部に引き込むためのポスター仕立てにして見ましたが、いかがでしょうか?
ちなみに設定では、このポスターはナギハラ君が作ったって事で(笑)

来たれ、放送部へ!(俺の代わりに)
(恐怖の)夏目 柚葉が(てぐすねひいて)待ってるぞ!

って感じだと思ってください<おぃ
それらの文字はあぶり出しになっています(笑)
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う〜ん…新歓用ポスターか…なしてそんな事思いつきますか?(笑
じゃあ、このポスターが作られるまでの経緯なんかを…
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 それは、亨くんとぼくが物理部に入部して、しばらく経ってからのことだった。
「おい薙原」
「何ですか、水元先生?」
 2人とも、何だか相手の心の内を探るような表情だった…何をそこまで警戒しているんだろ?
「お前、新入生勧誘用のポスターを作ってくれ」
「…俺がですか? でも、シーズン過ぎたばっかりですよ?」
 確かにそうだ。ぼくたちが物理部に入った時期だって、普通よりもかなり遅れているんだし…なんで今更?
「入部は年中受け付けてるから、別にシーズン外れてたって問題は無い」
「問題無いって…じゃあどうして今まで作らなかったんですか?」
「作るやつが居なかったんだよ」
 …納得。物理部にはマイコン班とロボット班があるけど、そのどっちにも部員は5人ほどしか居なくて、しかもそれ全員が幽霊部員。実質的に今活動しているのは、亨くんとぼくの2人くらいのものだ。
 でもぼくたちは一般的には公開されてない、特殊工作班だけど。
 亨くんは「仕方ないな」って感じで、
「…どんなのが出来ても知りませんよ?」
 溜息をつきながら言った。
「おお、引き受けてくれるか。それなら早速、放送部に行ってくれ」
「…ちょっと待ってください」
 そのいきなり飛び出てきた『放送部』という言葉に、亨くんは過剰に反応した。
「何だ?」
「どうしてポスター作るのに放送部が関係あるんですか?」
「それがな…夏目が放送部の新入生にと目をつけていた薙原を、私が引き抜いてしまったものだから、お詫びに何かしろって言われてたんだよ」
 夏目先輩…よっぽど悔しかったんだろうなぁ。
「そんなの、水元先生の都合じゃないですか」
「イヤならいいんだぞ?」
 なにか含むものがあるその水元先生の言い方の前に、
「………いえ、やらせていただきます。喜んで」
 亨くんはあっさり承諾していた。

 そして。
「夏目柚葉ぁ〜、来たぞぉ〜」
 いきなり放送部の扉を開いて、亨くんはどこかやる気なさそうな…っていうか、無いんだろうけど…そんな声で言った。
「…あたしは呼んでないわよ、ナギハラ」
 …そりゃそーだ。
「俺だって、本当はこんなところ来たくはねーんだけどな、水元先生に頼まれたらどうしようもないだろ?」
「え?」
 その言葉に夏目先輩は、鳩が豆鉄砲食らったような顔をしてみせる。
「放送部のポスター作れって言ったの、あんただろ?」
 ああその事かって顔で、夏目先輩は頷いて見せた…けど、
「…あんたが作るの?」
「何か不満でも?」
「不満ならいっぱいあるけど…水元先生がそう言ったんじゃ、仕方ないわね…それで、何をしにここまで来たの?」
「夏目柚葉の写真でポスターを作ってみようと思ってな」
 途端に、部室内にざわめきが起こった。
(おい、夏目なんて勧誘ポスターに使っていいのか?)
(やべーんじゃねーの?)
(でも、外見だけはいいから…性格は写真には写らないし)
「聞こえてるわよっ!」
 夏目先輩が振り向いて一喝すると、それだけで部室内は静かになった。
「ところでナギハラ、あんた、写真の腕は大丈夫なんでしょうね?」
「不満なら芝口連れてくるけど?」
「そこまでしなくても…あ、芝口くんに、『いつでも取材出来るようにしておけ』って言っておいてね」
 …芝口くんと何があったんだろ?
「それより、どこで写真撮るの?」
「こう…欅(けやき)の木と校舎を背景に何枚か撮ってみたいな」
「OK、行きましょう」

 所変わって、ここは東高校正門前の欅の木。東高校のシンボルとして植えられているこの木は、樹齢60年とかいう話だ。
「…ポスター撮影だってのに、何でそんなに険しい顔してるんだ?」
 欅の木の前に立った夏目先輩は、どことなく仏頂面だった。
「相手があんただと、どうしてもね」
「じゃあ、水元先生でも連れてくるか?」
 なんでそこで水元先生が出てくるんだろう? でも夏目先輩には、そのひとことが効いたらしくて、
「なっ…何言い出すのよ、いきなりっ!」
「おっ、その表情(かお)いただきっ!」
「ナギハラっ、それ使うんじゃないわよっ!」
 思いっきり顔を真っ赤にして、夏目先輩は抗議した。
「それは構わないが…なんだか勿体無いな」
「そうだね、あんな表情の夏目先輩なんて、滅多に見れないしね」
「ここはひとつ、1枚200円くらいでバラ撒くというのは…」
「焼き増しの申し込み殺到間違いなしだね。200円でも安いんじゃない?」
「特に何も知らない来年の1年生には…」
「ナギハラ、それはどういう意味かな?」
 亨くんの言葉に、夏目先輩は頬を引き攣らせた。
「夏目柚葉、被写体はもっと愛想良くするもんだ」
「誤魔化すんじゃないっ!」

 それから何枚か撮影して…
「しかし、何か物足りないな…」
 亨くんが呟いた。
「颯、夏目柚葉と聞いて何を連想する?」
「バール」
 ぼくは何の迷いも無く答えた。
「それだ。夏目柚葉、こう…バールを担いでみてくれ」
「あんた、あたしのそんな写真撮るつもり?」
「持ってるんだろ?」
「そりゃ持ってるけどね」
 言いながら、スラッとバールを引き抜いた。例によってどこからともなく…
「いつも思うんだが…どこに隠してるんだ、そんなの?」
「ナギハラ、パームも知らないの?」
 パームって…よく手品師がコインとかの小物を指で挟んで、手の甲側に隠すっていう初歩テクニックのこと?
「バールをパーム出来るわけねーだろ!」
「イヤねぇ、冗談よ」
 結局、バールの謎は分からないまま、撮影は終了した。

 それから。
「ナギハラっ! あんた、あんなポスター作ってるんじゃないわよっ!」
「勧誘用ポスターってのは、目立った方がいいだろ?」
「だからって、限度ってものがあるでしょっ? 何も床から天井まで届くようなの作る事無いじゃないのっ!」
「フッ、甘いな、夏目柚葉」
「何がよ?」
「この俺が、たったそれだけの仕掛けで満足するわけが無いだろ?」
「あんた、この上一体何を仕掛けたのよっ?!」
「そのうち分かるよ」
「どういう意味よ、それ?」
 炙り出しで浮かび上がった文字を見て、夏目先輩が亨くんを追い掛け回すのは、それから数日後のことだった。
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 平城山 圭さんのHP『古都管理室』にも、是非…訪れてみてください。



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