プリンタ(PM-730C)を修理する


年末になって年賀状を刷ろうとして、印刷物が黒インクで汚れることに気が付いた。ヘッドのクリーニングを何度もしてみたが改善しない。このプリンタを買ってから2年が経過しているが、前のプリンタも2年くらいで故障したのでこれくらいがエプソンのプリンタの寿命なのかもしれない。

たぶん修理に出すと、新品を買うのと同じくらいの代金がかかってしまうのは想像に難くない。最近の水ににじみにくいプリンタや顔料インクも興味があるので買い換えてもいい。いやエプソンは壊れやすそうなので今度はキャノンにしてみるか.. とぐるぐる考えていたのだが、根がケチなので諦める前に修理を試みることにした。

用意するもの
品名備考
プリンタEPSON PM-730C
新聞紙床を汚さないように
ティッシュペーパー
綿棒
エタノール
治具底面のツメを外すのに使う。幅1cm、厚さ1.5mmくらいのヘラ状の鉄板が適している。100円ショップで安物スプーンを買ってくるのもいいかもしれない。
ペンチ治具を作るのに使う

まず、プラスチックの筐体を開ける。っとその前に、作業場所に新聞紙くらいは敷いておくこと。この修理を決断する直前には、何度も何度もヘッドクリーニングを試しているはずである。新聞紙を敷くのを忘れていると素直にプリンタを買い換えておけばよかったと後悔すること必至である。
これくらい廉価な機種になるとネジ1本にいたるまでもコストダウンが図られており、本体の外側を見回してみても筐体を止めているネジは1本も存在しない。すべてプラスチックのツメで止まっている。最初に底面前2箇所、次に底面後ろ2箇所を外す。底面のツメは少々奥まったところに隠れており、マイナスドライバーでは外すことができない。安物家具についていたスパナをペンチで適当に変形させて、ツメを浮かせるジグを作る。爪楊枝を「くの字」に折り、隙間の空いたところに挿入してセロテープで止めておくと一旦外れたツメが元に戻ることがない。
最後に背面3箇所のツメを外す。USBコネクタが引っかかるので、少し苦労した。

背面ツメ

ケースを開けると、プリンタのメカが剥き出しになる。プリンタのヘッドはプリンタ内に左右に張られたレールに沿って移動する。このレールは左右のクリップでとめられているので、このクリップを両手で押し下げて外すとレールが外れるようになる。

クリップ

レールを外すだけではヘッドは取り外せない。ヘッドはベルトによってモータで駆動されるようになっている。左側のテンショナで一定の張力が保たれるようになっているので、これを指で押してベルトを外してやる。

テンショナ モータ

レールを外すとヘッドが取り外せる。ヘッドを見てみると案の定、ほこりが溜まってインクを蓄えている。このほこりをティッシュで取り除くのだが、ノズルに触ってインクを汚さないように内側から外側に向けてふき取ってやる。その後エタノールを含ませたティッシュで清掃する。

プリンタヘッド

本体側に目をやると、ヘッドクリーニングの機構もかなりインクで汚れている。こちらもティッシュで清掃する。この部位は、クリーニングを実行した際に出るインクを受けるためのものである。左側に見える皿でインクを受け、中央付近に空いた穴から毛細管現象で皿の下に接続されたパイプに押し出し、インクを本体後ろ側に敷かれている大きなフェルトに送るようになっている。なるほど、確かにパイプの中にインクが少し残っていたが、蒸発皿のフェルトはまだかなりきれいであった。皿の右側にもフェルトが敷かれている。これは皿からインクが溢れたときに使われるのであろうか。こちらはクリーニング機構の直下にある小さなフェルトに送られるようになっている。こちらはインクでかなり汚れていたので、インクを後ろに送る機構はあまり有効に働いていないように見える。

クリーナ機構

一通りの清掃を終えて、ばらした時と逆の手順でプリンタを組み立てる。このときまだケースは組まないで、テスト印字を行う。

ヘッドを掃除した時にインクカートリッジを横にしたせいか、黄色に印字される部分が緑色になる。イエローとシアンが混ざっているようだ。こりゃヘッドの中でインクが混ざったかなーと冷や汗をかきながらカートリッジを外してみると、幸いにもカートリッジの中では混ざっていないようだ。ということは、ノズルの側で混ざっているということ(かなり気を使ったつもりなのだが)。新しいカートリッジに替え、mspaint.exeで黄色のベタパターンを何枚か印刷してみると無事もとに戻った。

正常動作を確認したところで、上ケースを組み立てる。これであと2年くらいは動いてくれそうである。